マクラーレンの650Sスパイダーです。公道で初めて遭遇した際、これは12Cだろうか、でも何となく違和感が、そんな漠然とした視線を遣っていました。12Cにしてはリアのデザインが少々込みいっていますし、聞こえてくる音が12Cより賑やかです。「ファブデザイン的なチューナー物だろうか」とそちら方面へしばらく考えが飛んでもいたのですが、そういえば650Sってあったなと思い出し、後に確認するとその通りだったという次第です。
650Sの画像をニュースサイトで初めて見た際、「フロントP1、リア12C」と素早く頭の中で整理していました。安直な整理だけで終えていたので、当然12Cとの違いも考えず、P1との違いも考えないままです。650Sに遭遇するようになって改めて確認してみましたが、ここまで大胆にニコイチをやってのけられるのはマクラーレンくらいでしょうか。0-100km/hを3秒で駆け抜け、最高速は軽く333km/hと、本来これくらいの性能の車両ともなれば、全体的な空力も考慮して前後左右上下のトータルでつじつまを合わせたデザインになっているはずです。それなのに、前後ニコイチデザインにできるというのは、そもそもP1やベース車両の12Cが局部ごとでも普遍性のあるデザインをしていたのか、あるいは非常に高度なつじつま合わせをやったのか、そのどちらかだろうと思いますが、おそらくそのどちらもなのでしょう。マクラーレンに限らずF1でレギュレーションとギリギリの戦いをしている企業にとって、市販車両のレギュレーションなど恐るるに足らずのはずでしょうし。
ちなみに、私がこれまで遭遇して一番驚いた前後ニコイチデザインは、リアがセドリックでフロントがベンツでした。いわゆる顔面移植なので全く別の話になるのですが、後ろから来たベンツが通り過ぎざまにセドリックへと変わっていたあの感覚は、意識に穴が開いたような気分でした。自分の意識が一瞬飛んでしまっていたのかという不思議な感覚です。顔面移植した側からすると、「してやったり!」しょうか。
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