ブガッティのヴェイロンです。センターマフラーの中をよく見るとパイプ出口が二つありますが、マフラーエンドとしてはセンター一本なので一本出しマフラーです。と見せかけて、センターマフラーから左右それぞれ30cmほどにこっそりマフラーがあるので、結局は三本出しマフラーとなっているヴェイロンです。
W16気筒で8リッターのクワッドターボと聞くと、その排気音たるやいかほどかとも思うのですが、街乗りで遭遇する限りではただただメカニカルな音が強いという印象です。シュイーンともシュワーンともシャキーンとも取れる音をまとっており、少なくとも街乗りではスーパーカーにありがちなこれ聞こえよがしなサウンドはありません。マフラーは本来の役割である消音に徹しているようでもあります。
そして、このヴェイロンは管理職の小話ネタとして愛用されていた時期がありました。具体的な目標設定の重要さを説く好事例としてです。ヴェイロンは可能な限り速く走れる車を目指した結果として時速400kmを達成したわけではありません。最初から「最高速400km以上」という目標を設定し、その目標達成に何が必要かを考え、その必要な努力をしたので見事クリアできたという話です。ヴェイロンが誕生する前はアポロ11号を小ネタに使う人もいました。アポロ11号はできるだけ高く空を飛べるように作られた結果として月へ行けたわけではなく、最初から「月面着陸」という具体的な目標があった結果、月まで行くことができたという具合です。わかりやすさで言えばアポロのほうに分がありそうですが、自動車業界というカテゴリーを飛び越えて広く大きなトピックであり続けるヴェイロンもやはり偉大だと思います。維持費や価格や所有者の話だけで小ネタになってしまう車などそう多くはありません。
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