メルセデス・ベンツのA210AMGです。といっても、この初代や二代目AクラスにAMGモデルがなかったであろうことは私も察しがつきます。エンブレム(というかステッカー)チューンなんだろうかと思いつつも、A210というグレードが見慣れないものだったので調べてみました。すると、そもそもA210自体(正確にはA210Lエボリューション)が特別な生い立ちを背負っていることを今さら発見した次第です。
ノーマルのAクラス(W168)と比べて全長も全高もリアトレッドもホイールベースまでもが拡大され、搭載する2.1Lエンジン(166M21)もいわばこの一車種のための専用開発となっています。「異なる車種の間でエンジンを共有するなどあり得ず、一車種ごとに違うエンジンが搭載されてるんだろう」などと、車のことを何一つ知らなかった当時の私が抱いていたイメージ通りの車です。そして、車業界の常識をわきまえつつある今となっては、フラッグシップでもない当時のAクラス一車種のためにエンジンが専用開発というのは、非常に珍しく思えてなりません。
この2.1リッターエンジンはボア×ストローク(84.0mm×94.0mm)がボアダウンされる形でその後のW169型Aクラス(83.0mm×94.0mm)やBクラスに使われてはいますが、同一エンジンはやはりA210のみとなっています。車両全体にAMGの手が入っていると公然と言及されているのにAMGバッジが付いてない点が、アルピナチューンなのにアルピナの名前が公式には出てこないE53型X5の4.8isや4.6isを思い起こさせます。そして画像のA210AMGですが、後ろ姿を見る限りではA210Lエボリューションのようです。こうして生い立ちを考えると、AMGバッヂを付けてもあながちエンブレムチューンとも言えません。AMGスポーツパッケージに純正でAMGバッヂが付いたり、あるいはMスポーツパッケージに同じく純正でMバッヂが付くのなら、このA210エボリューションにAMGバッヂがないほうが不思議かもしれません。
この記事へのコメントはありません。