ポルシェの918スパイダーです。ルマン24時間レースで優勝したポルシェ919ハイブリッドのパワートレインがV4ハイブリッドだったので、優勝車両に近そうな市販車ということでの918スパイダーです。といっても、実際は似ても似つかぬ二台ですし、レース車両と市販車を同列に扱うのも無理があるのですが、それでも仮にルマンから何らかのフィードバックがあるとすれば、真っ先にその対象となるのは918クラスの車両だとは思います。
今回のルマンはとにかくポルシェが予選も含めて終始ハイペースで飛ばし続け、そのスピードに揺さぶられた
アウディに綻びが生じたという説明がなされています。アウディが出した最速記録も、ポルシェがいなかったら生まれてないはずであると。このような説明から、ふとマツダが優勝した1991年のレース展開を思い浮かべました。マツダ787Bの55号車が二位に躍り出て、さらに三位のジャガーとの差を広げていく中、四周の周回差を付けてトップを独走していたベンツが逐一マツダを意識したようなペースアップをします。そこで、大橋孝至監督は55号車に対し、「さらに一秒ペースを上げろ」と、ピットからの猛反対を押し切って指示を出します。大橋監督はこの「一秒アップ」のままで長く走らせるつもりはなく、ただ「ベンツに何かが起こるかもしれない」という理由で、いわば揺さぶるためだけにペースアップを命じています。結果、トップを走っていたベンツはオーバーヒートで白煙を上げてピットに入り、その後レースに戻ってくることはありませんでした。レース展開は全然違いますし実際はどうなのかもわかりませんが、今回のルマンの舞台裏が本当はどうなっていたのか、その揺さぶりや駆け引きの証言を知りたい人は例年のルマンより多いのではないでしょうか。
今回のルマン以降、たとえば
GT2RSに遭遇したり、
大黒で異彩を放っていたGT3を思い出したり、
997GT3に遭遇したり、
サーキットの狼ミュージアムのカレラ3.0を思い出したり、
テックアートパナメーラのグランドGTに遭遇したり、
オフィスKドバイストリートのテックアートGTストリートRを思い出したり、
991GT3に遭遇したり、
東京モーターショー2013のGT3カップを思い出したり、
ケイマンに遭遇したり、
魔方陣スーパーカーミュージアムのケーニッヒスペシャルを思い出したりするたびに、心の中でそっと「スピードスター」の冠をかぶせてしまいます。レース活動というのは技術のフィードバックだけでなく、ブランディングにも影響を及ぼすというのはやはり間違いないようです。
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