メルセデスベンツのSLS AMG GTファイナルエディションです。広島まで一気に800kmドライブして翌日また800km帰ってきてその次の週には大阪まで往復1,000kmの弾丸走行に興じたりする私にとって、”GT(グランドツーリング)”を冠する車はひときわ興味を引く対象となってしまいます。メルセデスベンツ車の高性能バージョンといえばAMGモデルですが、AMGモデル自体の拡充とともに、ノーマルAMGよりも高性能なラインナップも増加の一途を辿ってきました。アッパーAMGの代表格といえばもちろんブラックシリーズですが、他にもたとえばC63AMGならパフォーマンスパッケージやエディション507など、オーナーや購入検討者でもない限りは詳しく把握しきれないほど、次々に投入されているアッパーAMGです。
このSLS AMGのGTもノーマルAMGよりパフォーマンスが引き上げられていますが、このGTはファイナルエディションなので、ノーマルのSLS AMGより高性能なノーマルのSLS AMG GTにさらにトッピングが施されています。一番わかりやすいのが、格納式をあきらめたカーボン製のリアウィングでしょうか。私はSLS AMGに物凄くフロントヘビーな印象を抱いていたので、このGTのファイナルエディションを見たときの第一印象は、「あ、ベストSLS」となりました。
トップギアのたしかアメリカ縦断スペシャルだったと記憶していますが、いつもの三人が現地でレースをした際、SLS AMGを選んだジェレミーだけがテールハッピーでコースアウトを繰り返していました。とにかくコースアウトする様子ばかりが強く印象に残っています。これで「SLS AMGは物凄くフロントヘビー」ということを刷り込まれたわけですが、ウィングのくさびを打たれたこのファイナルエディションには隙が感じられず、素人目には盤石に映ります。単純ですがそう感じます。実際にはノーマルのSLS AMGであっても、トップギアのようにトラコン切って現実生活ではあり得ないほどぶんぶん振り回さない限りは物凄く安定しているはずです。それなのに、さらに上位グレードを設定されるとつい物足りなさを覚えてしまいます。人の機微を捉えた商売というのは、さらに素晴らしいグレードを見せてくれて楽しい反面、まったくもって心憎いものです。
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