【BMWi3】【eDrive試乗記】

  1. BMW


 BMWのi3です。後ろから見るとタイヤの細さが顕著に見て取れます。インチ数で言えば私の愛車と同じ19インチとなりますが、幅が全然違います。とても同じ19インチには思えません。街で遭遇する機会が増え、こういう異形さを目の当たりにするにつれ、ふつふつと試乗欲が湧いてきました。ということで、今ごろになって試乗に参じた次第です。電気自動車に試乗するのはBMW1シリーズベースのActiveEとテスラのモデルS以来となりますが、文字通りの三者三様でした。i3についてはActiveEやミニの電気自動車「MINI E」からフィードバックを得て開発に活かされたとのことですから、フィードバックから得た知見を強力に推し進めて別物に仕立て上げたのでしょう。

 たとえば回生ブレーキですが、ActiveEの回生ブレーキは非常に強く、「ほとんどブレーキ要らないな」と運転していたものです。しかし、i3の回生ブレーキはさらに制動力が強くなっており、完全停止までできるようになっていました。確かActiveEでは完全停止はできなかったと記憶しています。i3はコツを掴めば本当にブレーキゼロで運転できてしまいます。必然的に完全停止前提でのアクセルワークとなるのですが、これがまた面白いのです。シングルペダルに慣れると、ブレーキとアクセルの踏み間違いも起こらなくなるんだろうかと考えながら楽しんでいました。ちなみにテスラの回生ブレーキはiPad画面で二段階に調節できましたが、それでも最後はフットブレーキでお願いしますという制動でした。これはメーカーごとのスタンスの違いだと思います。スタンスといえば、BMWはi3のレンジエクステンダーも「純然たる電気自動車」と位置づけています。i3のようにエンジンを駆動ではなく発電に利用する方式は、今は亡きフィスカーのカルマでも見受けられましたが、カルマはハイブリッドカーでした。これもまたスタンスの違いなのでしょうか。
 また、加速については、ActiveEだけを見れば遅くも速くもなくというところでした。0-100km/h加速は9秒台です。メーターを撮影しながら何度か試み、後で全て確認しましたが、全て9秒台でした。タイムだけを見れば決して速くはないのですが、理論上1rpmで最大トルク発生という独特のトルク感と、やはりモーター独自のシームレスな加速感に後押しされ、遅さは感じません。しかも、新幹線加速時とそっくりな音が車内に響いてきて、本当に新幹線な気分に浸れました。しかし、i3は明らかにもっと速いです。残念ながらi3は公道上しか走れませんでしたが、50km程度まで加速しただけで、ActiveEの上を行くのがわかります。ActiveEとi3はともに最高出力が170馬力ですが、ActiveEは車重が1850kgあったのに対し、i3は1260kgしかありません。同じ馬力で600kg近い差は物凄く大きいです。バッテリーを敷き詰めてモーターも搭載して1260kgというのは、驚異的と言っても良い軽さです。軽量EVというのもi3の特徴なのでしょう。街ゆく電気自動車の姿が珍しくなくなった今、「電気自動車だから」と一括りにできない世界が広がってきています。次はどんなEVが登場するのか、楽しみでたまりません。

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