いすゞの117クーペです。同じ時代にやはり同じくジウジアーロによってデザインされたマツダの初代ルーチェロータリークーペといわば兄弟車であると、私は勝手に捉えています。どちらも似ているようでいて非なるデザインで、時代を超えて評価されているデザインと言っても良いのでしょう。といっても、私はいつもルーチェ側からこの117クーペを見ていたので、今回改めて調べてみて、117クーペが1981年まで長く生産されていたことに驚きました(初代ルーチェは1969-1972年)。画像のようにまだ現役車輌が多く残っているようで羨ましい限りです。
今回この117クーペを見て、ツッコミどころが二つありました。リアウィンドウに覗く赤色灯と、リアウィンドウに貼られたYANASEステッカーっぽい「YARASEステッカー」です。ひょっとするともっと突っ込むべきところがあるのかもしれませんが、私が気になったのはこの二つでした。まず赤色灯ですが、これまで遭遇したリアウィンドウ内に赤色灯な車輌は、おおむね劇中に登場する覆面パトカーになぞらえたパターンが目立ちます。ニューイヤーミーティングの駐車場で見かける覆面パトカーはまずこのパターンです。今回の117クーペもてっきりそのパターンかと思いきや、117クーペが警察車輌として登場した作品は見つけられませんでした。つまり、オリジナル設定でしょうか。他で見たことがない設定であるものの、よく似合っています。
つぎにYARASEステッカーですが、このステッカーを発見して20秒くらいは本物のYANASEステッカーだと思っていました。しかし、「いいものだけを世界から」と、海の向こうを見続けてきたヤナセが国産車を扱っていただろうかと自問して、YARASEステッカーだと気付いた次第です。もっとも、ヤナセの歴史を紐解くとプリンス自動車も販売していたようなので、そこまで深くヤナセを知っている人にとってはこのステッカーはもっと大きく響いたのかもしれません。幸い私はそこまで知らなかったので数十秒しか引っかかりませんでしたが、旧車でもこのような楽しみ方があるのかとまた観察すべき点が増えました。これまではこの世代の車でこんなに楽しげな仕様はまずないと思い込んでいたので、色々と見落としていたのかもしれません。これが実は117クーペじゃなくて初代ルーチェにいすゞのリアを移植したこだわり仕様だったらどうしようかとすら確認してしまった、揺さぶられる今日の1枚でした。
この記事へのコメントはありません。