フェラーリの612スカリエッティです。フェラーリ好きの方からはお世辞にも人気があるとは言えないモデルですが、私はフェラーリの中でこのスカリエッティが一番好きです。先日8日のカーグラフィックTVでは612スカリエッティについて何一つ言及がありませんでした。「フェラーリ30年の足跡 ディーノから12気筒F1まで」と銘打った特集だったにもかかわらず、その30年の足跡の中にも、ディーノから12気筒F1の中にも、スカリエッティの姿はありませんでした。テレビに限らず他の紙媒体でもおおむねこういう扱いに甘んじている612スカリエッティです。
一般的に「フェラーリ」で思い浮かべる車両は、純然たるスーパーカーだと思います。見ている側にも興奮や緊張をもたらすデザインこそがフェラーリのはずです。しかし、このスカリエッティは今日の画像でのアングルがまさにわかりやすいのですが、どこか「ゆるい」です。540馬力を発揮するV12エンジンを搭載し、0-100km/h加速は4.2秒、最高速度は315km/hと、数値だけを見れば極上のスプリンターそのものですが、4シーターということもあって、「肩肘張らなくて良いよ-」という居ずまいです。全体的なスタイリングは599に近いので599と比べれば一目瞭然ですが、612は599のように複雑に込み入ったディテールもなく、大らかさすら感じます。そのため、私は612をGTカーだと思っています。
私はときおり関西まで往復1,000km以上を日帰り強行したりするので、車の買い換えを想像するときにはどうしても高速クルージングできる車両を前提にしています。そして、SUV(SAV)ばかりが頭に浮かぶ中、この612スカリエッティもGTカーの筆頭として選択肢に入ってきます。4シーターということで他のフェラーリと比べれば下取り時の条件も芳しくないようですが、買う側としては手を出しやすい中古価格となるので、願ったり叶ったりです。乗ったこともないですが、GTカーとして申し分ないことは勝手に確信しています。車の買い換えというのはタイミングの問題でもあるので、そういうタイミングに右ハンドルのスカリエッティが放出されていれば、全てをこなす一台として選択肢に入ってくることは間違いありません。ただ、冒頭で書いたようにフェラーリ好きの方々から見れば、そういう「実用性」こそがフェラーリらしからぬと思われているのでしょう。そして冷静に考えれば、私もフェラーリという柄でもないのですが、それでも気になって仕方がない612スカリエッティです。
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