【緑デミ】【愛車と愛着】

  1. マツダ


 緑のデミオ、略して「緑デミ(みどでみ)」です。この「緑デミ」という呼び名をご存じの方は、伊坂 幸太郎氏の「ガソリン生活」を既にお読みかと思います。もし自動車同士が本当に言葉を交わせるなら、こういう世界が広がっているんだろうなと思わせる小説です。主人公(主車公)は緑(スピリティッドグリーンメタリック)のデミオで、その緑デミが家族(望月家)と事件に巻き込まれながらも、喜怒哀楽を共にする物語です。登場車はカローラGT、ブルーバード、アテンザ、ヴィッツ、ミニクーパー、タント、ヴォクシー、CR-V、マーチ、BMW6シリーズ・カブリオレ、アウディ、セルシオ、VWゴルフ、アルファロメオ、シトロエン、その他まだまだ書き切れません。
 私がこのガソリン生活を読んで印象に残ったシーンは三点。「運転してもらえない車の何とも寂しそうな描写」と「ちょっとした事故や車検がきっかけで廃車にされることへの恐怖感」と「車を手放すときに涙を流す人間がいること」です。伊坂 幸太郎氏の本はこれしか読んだことがないのですが、物悲しいシーンばかりが心に残っています。そういう作家なのでしょうか、あるいはたまたまでしょうか。
 私は初めての愛車を今でもそのままずっと乗り続けているので、車を手放した経験がありません。そのため、車を手放すときの心情を実体験としてわかっていませんが、やはり寂しい気持ちになるのだとは思いますし、そういう話もよく聞きます。私はまだ長く乗っているほうではないですが、車内車外での色んな感情を思い返すと、車そのものへの愛着を否定しようがありません。ましてや、一台の車に10年20年と乗っている方々にとっては、きっとその車は人生の一部なのでしょう。人生を振り返るとき、そこかしこに愛車の姿もあることでしょう。ガソリン生活で車とお別れするときに泣いた人物の挿話を目にし、私もいつか愛車を手放す際には涙してしまうくらいになりたいと感じたものです。願わくば、誰にも見られてない場所なのに独り格好つけて男泣きで。

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【成長期をもう一度】

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