BMWのE24型M6です。このM6については当初はM635CSi表記だったのでこちらのほうがしっくりくるかもしれません。日本やアメリカでは途中からM6表記になり、二代目からは全てM6で統一されています。0-60マイル加速がBMW公称値の6.4秒より早かったこともこのM6の評価を高めた一因ですが、最も花を添えた要因は「世界一美しいクーペ」と呼ばれたそのスタイリングにあると言っても良いのでしょう。
この「世界一美しいクーペ」という表現は元F1レーサーでもあるポール・フレール氏の言葉が発端とされていますが、いつどこで発せられた言葉なのかを見つけることができませんでした。そもそも、Wikipedia英語版のE24の項目にもその手の表現は出てきていません。ポール・フレール氏はフランス人なのでフランス語版に記載があるのかなと覗いてみましたが、フランス語版にもそのような記載や引用はありませんでした。よくよく調べてみると謎な冠言葉「世界一美しいクーペ」ですが、E24がデビューした当時の状況を考えると不思議でもないのかなと思います。
1976年当時のクーペ、特にすでにカウンターパートであったメルセデス・ベンツが擁していたクーペは、Eクラス前身のW123クーペとSLクラス前身のR107です。どちらも古き良きドイツ車の味わい溢れるデザインですが、時代感で言うならE24の競合というよりも、その前身である3.0CSに競合するようなデザインとなっています。もちろん、「美しい」であるとか「端正」であるとか「均整が取れている」という言葉の定義は時代によって変わるはずですが、このE24については時代に左右されなさそうな、どこか黄金比を備えたようなバランスを感じます。しかも、E63系、F12系の中にもそれを感じてしまうので、やはり偉大な一台だったのかもしれません。
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