【宮型霊柩車の自動車博物館が見たい】

 都内で遭遇した二方破風の宮型霊柩車です。私は霊柩車に遭遇するとすぐ「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」と念じる習慣がついているのですが、こんなことをしているのは私だけだと最近知りました。親を持って行かれないようにと「親指を隠す」のが一般的な反応かもしれませんが、霊柩車に遭遇したときも路上にある動物の亡骸を見たときもただ、「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」です。「不吉」と感じて遠ざけるよりも「安らかな旅立ち」を願ったほうが、自己満足ながら何となく心が落ち着くからかもしれません。

絶滅危惧種と化す宮型霊柩車

 宮型霊柩車の姿を見かける機会は激減しています。都内だけでなく、地方へ行っても完全に絶滅危惧種となっています。自治体が条例で宮型霊柩車自体の乗り入れを禁止するほどですし、「派手な葬儀を好まない」「コストを抑えたい」「斎場近くの住人は仰々しい霊柩車に遭遇したくない」という声が当たり前になる時代ですから、宮型霊柩車への風は完全にアゲインストでしょう。

 私が日常で遭遇する霊柩車といえば、光岡自動車のガリューや、トヨタのクラウン、そしてキャデラックのようなワゴンタイプがほとんどです。

宮型霊柩車の博物館や資料館があれば

 私はこれまで日本中の自動車博物館に足を運び、その中から面白そうな車両をこちらのサイトで取り上げていますが、宮型霊柩車どころか霊柩車自体が展示されてある博物館は一つも存在しませんでした。宮型霊柩車ミュージアムなんてあれば最高ですが、そこまで行かなくとも、「霊柩車ミュージアム」や「霊柩車博物館」なんてあったら面白そうです。宮型霊柩車については走る芸術品ですから、何らかの博物館に展示されてしかるべき存在だと考えています。

 宮型霊柩車で目立つ国産車といえばトヨタと日産ですが、トヨタ博物館や日産のヘリテージコレクションに宮型霊柩車が展示されるようなことになれば、宮型霊柩車にとって大きな一石になることでしょう。

海外で人気の宮型霊柩車

 宮型の「宮」はお宮参りや宮大工の「宮」と同じく、神社仏寺を指します。全国霊柩自動車協会は「宮型霊柩自動車」のことを「輿付き自動車」と表現しているように、海外の方々からすれば、宮型霊柩車に御神輿のような賑やかさを覚えても不思議ではありません。当然、仏教国家であればあるほど、宮型霊柩車の存在感は格別に映ることでしょう。

モンゴルでは日本の宮型霊柩車が大人気

 2016年にNHKの「所さん!大変ですよ」というTV番組で、日本の宮型霊柩車がモンゴルで人気を博していると紹介されていたのをリアルタイムで見ていました。「これは走る寺だ」と感じる方もいるそうで、宮型霊柩車の第1号車がモンゴルにやって来たときにはモンゴルの全国紙でニュースになっています。日本の宮型霊柩車が、海外で再発見・再評価されていてほっとしました。

宮型霊柩車の中古車探しは製造メーカーのホームページへ

 宮型霊柩車の中古車検索をする場合、カーセンサーやグーネットに「霊柩車カテゴリー」が存在しない以上、「宮型」でキーワード検索する他ありません。次に候補となるキーワードは「霊柩車」「霊きゅう車」の二つでしょうか。現在カーセンサーやグーネットで「宮型」と検索すると、四方破風の宮型霊柩車クラウンが1台だけ売り出されています。やはり数は少ないです。

 ただ、宮型霊柩車については、一般的な中古車サイトを調べるよりも、宮型霊柩車の製造メーカーのサイトを直接チェックしたり問い合わせるのが一番だと思います。

 たとえば、富山県にある「富高工業」のホームページを開くと、四方破風のキャデラック宮型霊柩車が三台も売り出されています。株式会社ニットクのホームページでも宮型が1台売り出されています。そして、これらの製造元は、カーセンサーやグーネットでは1台も売り出していません。

 一応ヤフオクでも自家用登録の宮型霊柩車が100万円前後で2台出ていますが、私だったら製造元から直販で手に入れます。購入後の安心感や責任ある対応も考えれば、製造元から仕入れるのがまず間違いない選択です。

「安らかな旅立ち」を支える霊柩車の博物館があれば

 宮型に限らず、霊柩車自体に「不吉」な印象を持たれることは否定できません。誰だって「死」を連想させる存在は遠ざけたくなります。身内に闘病中の方がいる場合など、宮型だろうがワゴンタイプだろうが、霊柩車に遭遇して嬉しいとは思わないはずです。誰だって結婚式の当日に、喜びを自粛させる霊柩車に遭遇したくはありません。また、小学生くらいの子供たちが霊柩車に遭遇すれば、素直に「不吉を前提としたリアクション」を取って楽しむかもしれませんが、致し方ありません。

 その一方で、霊柩車には「安らかな旅立ちを支える」という立派な役割があります。そのため、霊柩車自体は今でも当たり前に走っており、宮型もかつては当たり前に走っていました。

 私は2015年の10月に三日連続で日本自動車博物館へと足を運び、所蔵車両の全てを三脚撮影させていただきました。その際、スタッフの方とのお話で印象深く残っているのが、「今その辺を当たり前に走っている車のうち、何十年か先に自動車博物館に所蔵されるに値する車はどれほど存在するか」ということです。日本自動車博物館に所蔵されている車両は、昔なら当たり前にその辺を走っていた車が多いからこその発想です。今でこそ日本自動車博物館でしか見られない車も多いですが、そもそもは当たり前に走っている車を蒐集するところから始まっている博物館なのです。

 たとえば今、都内を当たり前に走っている車のうち、20年30年経ったときに博物館で展示されるに値する車は何かと考えると、そう簡単には答えが出ません。しかしながら、かつて日本中を当たり前に走っていた宮型霊柩車が、博物館の一角を占めるに値するであろうことは確信しています。どこかの自動車博物館が一石を投じてくれないものかと、期待してやみません。

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