フォードのフィエスタです。フィエスタに初めて遭遇したとき、アストンマーチンのシグネットと間違えかけました。理由はただ、グリルがアストンっぽいコンパクトカーだったからです。シグネットは実際にはもっとコンパクトなので、シグネット自体のサイズ感を見失わなければ間違えることはないのでしょう。ただ、iQはともかくシグネットにはそう頻繁に遭遇しないうえに、そもそも顔つきから受ける印象とは大きなもので、巷でフィエスタがアストン顔だと言われるのも全くもって頷けるほど似ています。Wikipedia日本語版のフォード・フィエスタの項目には、「フロントマスクはアストンマーティンを思わせるものとなっている」とまで記されていました。
と、書き進めるとフィエスタは「アストンに似た車」で話が終わりそうですが、車自体の出来もすこぶる素晴らしいらしく、搭載する1リッターエコブーストエンジンは、3年連続でインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーに輝いている名機でもあります。また、このフィエスタはおぎやはぎの愛車遍歴的カー・オブ・ザ・イヤー2014に輝いていましたが、番組内では試乗していたおぎやはぎ双方が「何これ!?」と非常に楽しそうに運転していたのが印象的でした。1リッター直列三気筒ターボの100馬力エンジン(トルク17.3)を車重1,160kgに積むわけなので、パワーウエイトレシオやトルクウエイトレシオが特段優れているわけでもありません。それでも楽しさがあるということは、結局は「計測できる性能というのはクルマ全体のパフォーマンスの中の、あるいは魅力の中のごく一部でしょう。僕なんかそれよりも情緒的な雰囲気とかフィールとか、室内の気持ち良さなんかの方に魅せられるんでしょうね」(出典「小林彰太郎の世界」)という故小林彰太郎さんの言葉がずしんと重く響いてくる次第です。
そして、今回このフィエスタについて調べれば調べるほど、欧州フォードと米国(北米)フォードとでは、展開車種も方向性も毛色も同じフォードとは思えないほど異なっていることを認識させられました。アクション映画のカーチェイスに出てくるマッスルカーの印象は、フォードをごく一部の角度から見た姿でしかないということでした。欧州フォードの車がこれまで積極的に日本に導入されていなかったことも影響しているのかもしれません、と言い訳をしてみます。「フォードだけどアメ車じゃない」あるいは「アメ車じゃないフォード」、そういう車がまだまだたくさんあるようなので、日本でその姿を見る日が楽しみでもあります。
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