マツダのFDことRX-7です。思うに、このセブンほどレカロが似合う車も他にありません。と、さもレカロの何たるかを知った風に書いてしまうのですが、私は昨日までレカロシートに身を委ねたことがありませんでした。それなのに、レカロがどのようなシートであるかをわかった気になってしまうのは、ひとえに座らずとも座り心地が想像できてしまうあの形状にあるのでしょう。ということで、東京オートサロンでレカロシートに試着ならぬ試座してきました。
座った瞬間、「身の回りのあらゆる椅子をこれにしてみたい」と早まってしまうフィット感でした。オフィスチェアもこれに交換してみたくなります。人の骨格や肉付きは千差万別なので、量産されているこのレカロが私一人のためにワンオフでデザインされたわけでもありません。それでも、ぴたりとフィットします。レカロブースには文字通り長く居座って楽しんでいましたが、どのレカロも座った瞬間の安楽さは感じられませんでした。むしろ、特定の姿勢になるように強いられる印象です。しかし、当座の安楽さはないものの、その強いられているはずの一定の姿勢が、「これだ!」というポジションなのです。へたに身動きが取れてしまうシートで長時間運転するよりも、レカロのほうが疲れにくいであろうことは容易に想像できました。
私が自動車のシートに寄せてきた関心といえば、そのほとんどがレザーの種類とウレタンの重量です。だらだらとした姿勢でやや斜に構えて運転していたら腰が痛くなってきたことがありますが、普通の姿勢に戻したらすぐ治まったので、今のシートに物足りなさを感じたこともありません。それなのに、レカロが気になります。仮に取り替える場合、後席はどうなるのか、内装のレザーとデザイン上の整合性が取れないんじゃないかなど、現実的に考えるべき点はいくつもありますが、そういうことはさておき、今しばらくはあの着座感の余韻に浸りたい気分です。私は結構長くレカロブースにいましたが、よほど座り心地が気に入ったのか、私より長居していた方は何人もいました。東京オートサロンは11日まで開催されていますので、もしレカロ未経験の方がいらっしゃいましたら、休憩所代わりにでも座ってみる価値はあると思います。
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